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zoom RSS 歳月は何色か 一地清愁さんの詞では「朱」

<<   作成日時 : 2017/04/10 10:43   >>

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 柳は碧(みどり)であるのだが
 歳月は何色か。
 詩友一地清愁さんの詞はそれを朱色だという。
 清愁さんの鷓鴣天『今宵把盞醉當初』に
 「楊柳碧,歳華朱」という句がある。
.
 歳月にはもとより色はない。それを何色にするのかは
 日本語の詩(多くは自由詩)の場合は
 作者の直感で決めればよく
 朱でなく紅でも赤でも緋色でもよく
 要は 作者の好み であるだろう。
.
 しかし
 清愁さんの詞では、「朱」でなければならない。
 作者の直感を偶然とすれば
 清愁さんの「歳華は朱」という句は
 詞理とでも呼ぶべき必然性に立脚している。
 自由詩では
 霊感とでも呼ぶべき作者の思いつきを頼りに好句を捜すが
 詞には
 作者の思いつきを超越する詞理があり
 その詞理に随う必然の措辞が
 好句を生む。
.
      鷓鴣天・今宵把盞醉當初   一地清愁 2017.03.10
.
  別後花枝密又疏,流年幾度落京都。春風還自殘垣起,愁緒先從舊院蘇。
  楊柳碧,歲華朱,今宵把盞醉當初。一行一字斟酌久,再問君心曾有無。

  別れて後に花の枝は密にまた疏に,
  流年 幾度落京都に落ちんや。
  春風 還た自ずから殘垣に起ち,
  愁緒 先ず舊院より蘇へる。

  楊柳は碧,
  歳華は朱,
  今宵 盞を把(と)り醉ひて當に初むべし。
  一行一字 斟酌して久しく,
  再び君の心を問ふ 曾ての有無を。
.
 この作品はとても素晴らしい。
 まず
 別後花枝密又疏(別れて後に花の枝は密にまた疏に)
 密又疏は、春から冬、冬から春へという歳月の経過を表現しており
 流年幾度落京都の句は、落字が使われることで
 流れゆく年に、花が落ちるイメージが重ねられているように思える。
 詩の中では動詞をどう使うのがよいのか
 大変勉強になる。
.
 この落字の使い方、まさに一地清愁さんの本領発揮。
 学ぶべきはまだまだある。
 「春風還自殘垣起,愁緒先從舊院蘇。」の対句の美しさもそのひとつ。
 しかし、ここでは 後段の
 「楊柳碧,歳華朱」について述べたい。

 楊柳碧は目に映る光景であり、
 碧という言葉が選ばれたことには自明の必然性がある。しかし
 歳華は心象であり
 朱とされなければならない必然性はない。
 歳華に色を付ける必然性もない。

 しかし 詞理に基づくなら
1 楊柳碧 という句を使いたい また
2 後段の次への展開のうえで「歳華」に触れたい
 ということがある以上は
 詞の決まりごととして
 歳華に色を付けなければならず
 その色は朱でなければならない
 ということが必須となり、必然となり、詞理となる。

1 鷓鴣天の後段開頭の二句は対句にしなければならない。
2 よい対句にするには、色彩語には色彩語をあてなければならない。
3 後段の二句目は押韻句でなければならない。

 この3つが、「歳華朱」に働く詞理。
 一地清愁さんの作品は中華新韻の十四姑平声の押韻。
 そこで、
 楊柳碧の対句は●〇朱でなければならない。
 十四姑平声の色彩語
 それは白でも紅でも青や藍でもなく
 「朱」しかない。

 ●〇を填める言葉、それを選ぶのは作者が何を題とするかによるだろう。
 「歳華」でなくてもよいかも知れない。
 「歳華」を選んだのは一地清愁の「流年」に対する思いであるのだろう。
 しかし
 「楊柳」という物象に対し「歳華」という意象を対とするのは
 対仗の一手法として味わい深いものだ。
 つまり、「歳華」を選ぶことは
 対仗の美を生かさなければならない
 という詞理にも適っている。

 「歳華朱」は
 本来色彩を持たない意象に色付けをした名句だ。
 平仄、押韻、そして対句・・・
 決まりごとが名句を生む
 そういう醍醐味が詞理にはある。
 そして
 一地清愁さんの作品には、この作に限らず
 情理にあふれ
 詞理が実現する美に豊かに彩られている。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
谢谢的点评,先生的分析更有理论性,我自己填词时,只是由情由感自生。
朱颜,朱唇,朱红色的衣服,朱色是年轻人用的色彩,所以很自然地,写了,岁华朱。
一地清愁
2017/04/11 10:10
コメントありがとうございます。
>先生的分析更有理论性,我自己填词时,只是由情由感自生。
 そのとおりだと思います。
 一地清愁さんの詞が情感の自然な流れの中で言葉を選ばれていることは小生も承知しています。
 ただ、自然な情感が日本と中国の詩人では違いがあり、日本人のそれは情感、中国の詩人では情理
 という違いがあるということを
 論理で考えてみたく、この一文を書かせていただきました。
獅子鮟鱇
2017/04/11 10:54

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