俳優も詩人歌人も詠む一句

 俳ラ17では俳優である神山天外さん、詩人・歌人でもある葛原りょうさんの句を対照化することができ、セットで楽しむことができた。

   明けてなお生き延びておる黴と我  神山天外

   籍を入れても一人         神山天外

 天外さんは俳優なのだ。脚本も書く。だから天外さんの句が台詞のようであるのも自然。
 俳句のことしか考えない俳人には思い浮かばないだろう。
 吟行はモノローグ、舞台はダイアローグ、だから、

 俳人なら、「明けてなお生き延びておる黴」、で終わるが、俳優は、

 「と我」と詠まずにはいられない。黴が自己の実存を主張したのだから、今度は「おれ」の出番。

 放哉の「咳をしても一人」は、ほんとうにひとりだ。自分のことしか、頭にない。
 ところが「籍を入れても一人」はどうだ、相方がいるではないか。

 一方、葛原りょうさんは、舞台のパフォーマンスでは天外さんに遅れをとってはいない熱演だったが、やはり詩人だ。言葉は、自身の内面へと入りこんでいく。

   夕陽にレイプされている      葛原りょう

   詩を書けばたちまち薔薇の刑となる 葛原りょう

 この二句、どちらもとても美しい。しかし、天外さんの句にある「我と汝」性は、この両句にはない。詩人の場合は、句を詠むにあたって、モノローグへ走る。

 だが、実を言えば、上にあげた四句は、お二人には申し訳ないが「吟行はモノローグ、舞台はダイアローグ」という典型化のもとに選んでいる。
 天外さんの句にモノローグのものがあり、りょうさんの句にダイアローグのものもある。
 だから、上に書いたことは、私が、あ、いいな、と思った句を並べてみたら、モノローグとダイアローグが少し見えた、というほどのものです。
 天外さん、りょうさん、すみません。そして、ありがとうございました。

画像


 面会謝絶の部屋のなかには花畑 夏石番矢:
 http://shiciankou.at.webry.info/201010/article_21.html 

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  • 俳ラ17 その2

    Excerpt: 司会は、綾音。目の大きい美女。経歴年齢不詳。開会前から、出演者と細かくうちあわせをし、メモもびっしり。この人が、こののち、飛び入りタイムに、新作俳句を朗読するとは、驚きだった。 Weblog: Ban'ya racked: 2010-10-12 14:06